新明和工業株式会社(以下、新明和工業)は、現在、バイオプラスチックやバイオマス燃料、コークスなどを製造するスタートアップ企業UPCYCLE Technologies株式会社(以下、UPCYCLE社)とともに、国内各所で排出されるコーヒー豆かす(抽出した後のコーヒー粉)の再資源化に取り組んでいる。
本取組において、UPCYCLE社は、「ごみ」として排出されたコーヒー豆かすを「資源」として再利用する仕組みの構築を担い、新明和工業は、自社のノウハウと技術力を投じてコーヒー豆かすの炭化装置を開発し、前述の仕組みに組み込むことで、日々大量に排出されるコーヒー豆かすの好循環を目指している。
本展示会には、環境負荷を抑えた※1低温炭化装置やバイオコンポジットを使った再生製品を参考出展するとともに、UPCYCLE社が取り組む資源循環プラットフォームや燃料ペレットによるエネルギー利用についても併設展示する。
※1従来の炭化装置と比較して、低温度での炭化を実現することで、炭化プロセスにおけるCO2排出量を低減。 

コーヒー豆かすを「ごみ」から「資源」に変えるプロセスとメリット

現在新明和工業では、コーヒー豆かすを低温で炭化する独自装置の開発に取り組んでいる。本装置は、コーヒー飲料製造工場や大手コーヒーチェーン店など、大量のコーヒー豆かすを排出する場所に設置し、事業者自ら炭化行為を行うことを想定している※2。排出場所において炭化することで、①豆かすを良い状態で加工できる、②排出場所で炭化・減容するため、「ごみ」の量=CO2発生量を削減できる、③炭化することで現地での長期保管が可能、④輸送時のコスト削減にも寄与、など、複数のメリットを想定している。
炭化後のコーヒー豆かすの用途として、バイオプラスチックの原料が挙げられる。プラスチック加工時に炭化後のコーヒー豆かすを配合することで、化石燃料の使用量を削減できる。また、本過程で製品化したバイオマスプラスチック製品には、豆かすを焼却処分する際に排出されるCO2が貯留されていることから、総じてCO2排出量の削減に寄与する取組と言える。
※2 装置については、サブスクリプションの導入を想定

既存のインフラを生かす

本取組の特徴の一つに、コーヒー生豆の配送と、豆かす(を炭化した再資源品)の回収・運搬という、既存のインフラ活用を想定している点が挙げられる。
コーヒーの生豆配送、および豆かすの回収・運搬、この2つのインフラの要となるコーヒー抽出場所に豆かすの炭化加工および保管機能を付加し、インフラ内に炭化後のコーヒー豆かす購入希望者を組み込むことで、新たなインフラを敷くことなく、各々の要求を満たす仕組みが構築できる。

サステナビリティに関する取組

新明和工業では、1954年に本格的なごみ収集車の生産を開始するなど、社会の発展とともにさまざまな「ごみ問題」に向き合い、70年以上にわたって廃棄物の収集・貯留・運搬を担う製品の提供に携わり、循環型社会の実現に貢献してきた。今後も、「たゆまぬ技術革新で、安心な社会と快適な暮らしを支え続ける」と謳う経営理念の下、長年廃棄物に携わってきた知見を生かし、事業活動を通じて持続可能な社会を実現するべく、リニアエコノミー(大量生産・大量消費経済)からサーキュラーエコノミー(循環経済)への転換に寄与するべく、新たな取組にも着目し、推し進めている。
本取組も、この一環として具体化を目指し、同社が担当するコーヒー豆かす低温炭化装置の早期具体化に注力していく。

(文:落合平八郎広報事務所)

会社名:新明和工業株式会社
代表者:代表取締役 取締役社長 五十川 龍之
設立年:1949年11月
事業内容:特装車(ダンプトラック、ごみ収集車)、パーキングシステム、産機・環境システム、流体、航空機コンポーネントの製造・販売等
ウェブサイト:https://www.shinmaywa.co.jp/

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