株式会社倉元製作所は、液晶ガラス加工技術で培った成膜技術を活かし、ペロブスカイト太陽電池事業に本格参入する。同社は2023年に事業化を決定し、迅速な意思決定とスピード感を武器に、量産体制の確立を目指している。本展示会では、試作品の展示と実演を通じて、その技術力と将来性をアピールする。

培った技術を活かした新事業への挑戦

倉元製作所は、液晶パネルのガラス加工技術で培った成膜技術を基盤に、ペロブスカイト太陽電池の製造に向けて取り組んでいる。同社は金沢大学との共同研究を通じ、太陽光発電技術の研究開発を進めてきた。ペロブスカイト太陽電池は、既存のシリコン系太陽電池に比べて軽量かつ柔軟であり、設置場所の制約が少ないことが特徴である。特に雪の多い地域や、建物の屋根などの荷重制限がある場所でも設置可能な点が大きな利点である。

迅速な意思決定と量産体制の構築

2023年に事業化が決定され、既存の広大な工場設備とクリーンルームを活用することで、迅速な量産体制の構築が進められている。同社既存設備の有効活用により初期投資を抑えつつも、短期間での生産ラインの立ち上げを実現。2024年から順次、量産設備の導入などを開始し、今年夏には量産を開始する予定である。初期の生産ラインはパイロット規模で稼働し、将来的には年産1GWの生産ラインへの拡張も視野に入れている。

競争優位性と展示会での注目ポイント

同社の強みは、迅速な意思決定とスピード感である。大企業が多い同業界において、倉元製作所はフットワークの軽さと柔軟な対応力で市場に挑む。こうした取り組みが変化の激しい市場環境でも競争優位性を維持する原動力となっており、加えて既存の工場設備を活用した効率的な生産も大きな強みとなっている。

展示会では、ペロブスカイト太陽電池の試作品を展示し、LED発光デモンストレーションを実施予定であり、担当者は「ペロブスカイト太陽電池の試作品をぜひ確認してほしい」と話す。また、BtoBだけでなくBtoC市場への展開も視野に入れ、スマートフォン充電など日常生活での実用性もアピールする。

持続可能な成長に向けたビジョン

倉元製作所は、既存事業の枠を超え、新たな市場への挑戦に取り組んでいる。液晶ガラス加工技術で培ったノウハウを活かし、再生可能エネルギー分野での事業拡大を目指すことで、安定した経営基盤を築きつつ持続可能な成長を追求している。同社は、常に変化する市場のニーズに柔軟に対応し、技術革新を通じて社会課題の解決にも貢献していく方針である。(文:落合平八郎広報事務所)

会社名:株式会社倉元製作所
代表者:代表取締役社長 渡邉 敏行
設立年:1980年8月
事業内容:ガラス基板加工・切断や成膜加工など
ホームページ:https://www.kuramoto.co.jp/

ペロブスカイト太陽電池とは、「ペロブスカイト」という鉱物の結晶構造を利用した太陽電池。図はペロブスカイト結晶構造(ABX3)

ペロブスカイト太陽電池の特徴を生かした用途展開

装置・材料メーカーとのタイアップで生産技術を確立し、量産体制を目指す

同社の本社社屋

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