旭化成グループは、グループスローガン「Creating for Tomorrow」のもと、持続可能な社会の実現に向けた革新的技術を開発している。今回の展示会では、クリーンエネルギーとして注目を集める「バイオガスの精製システム」と、新たな資源循環モデルを通じて「高品位液肥製造装置」という2つのバイオガス関連ソリューションを紹介する。これらの技術を通じて、国内外の課題解決に向けた新たな可能性を提示する。
カーボンニュートラル社会を支える「バイオガス精製システム」
バイオメタンは、天然ガスを代替するクリーンなエネルギーとして世界的に注目されている。旭化成は、石油化学分野で培ったプロセス・触媒技術を活用し、物理吸着法によるCO2分離回収システムを開発している。このシステムは、低電力コストで高純度メタン(純度95%以上)に精製し、同時に高純度CO2の回収も可能である。
現在、岡山県倉敷市の下水処理場でバイオガス精製システムを設置して性能評価を行っており、早期の商業化を目指している。天然ガスを輸入に頼る日本国内でも、エネルギー安全保障の観点からこの技術は注目されており、展示会では国内外のパートナー企業や顧客との連携を模索している。
メタン消化液を活用した「高品位液肥製造装置」
湿式メタン発酵におけるバイオガス生成の過程で生じるメタン消化液は、散布場所や排水処理の課題が多く、バイオガスプラントの普及を妨げる要因となっている。同社のNature Ponics®システムは、メタン消化液を原料として、養液栽培で利用可能な高品位液肥を製造するものである。現在、日本で使用される肥料の原料となる尿素やリン酸アンモニウムは、ほぼ全量を輸入に頼っているのが現状である。化学肥料の代替を促進し、農水省の「みどりの食料システム戦略」にも貢献する。
同社は、宮崎県と宮崎県経済農業協同組合連合会らと共に同県農業のイノベーションを進めるため、県内で課題となっている家畜排せつ物由来の液肥を利用した施設園芸システムの事業化に向けた実証実験を行っている。また、農水省SBIR事業でも協力機関として参画し、早期事業化を目指している。この技術は、持続可能な農業の推進とバイオガスプラントの普及拡大を後押しするものである。
初出展で描く未来の可能性
今回の展示会で初出展するこれらの技術は、国内外のエネルギー課題や農業分野での課題解決に向けた具体的なソリューションである。バイオガス精製システムでは高純度メタン生成とエネルギー効率の向上を実現し、高品位液肥製造装置では資源循環型社会を目指している。また、展示会を通じて新規顧客やパートナー企業の開拓を目指し、未来を共に創るための新たな出会いを期待している。
Creating for Tomorrow—旭化成の挑戦は続く
旭化成グループは、持続可能な社会の実現に向け、これからも革新的技術の開発に挑戦し続ける。展示会で紹介する2つの技術は、社会課題の解決と新たなビジネスチャンスを生む可能性を秘めている。ぜひ、展示ブースに足を運び、未来を見据えた旭化成の取り組みをご覧いただきたい。(文:落合平八郎広報事務所)
会社名:旭化成株式会社
代表者:代表取締役社長 兼 社長執行役員 工藤 幸四郎
創業:1922年5月
倉敷市児島下水処理場でのバイオガスの流れと新設したバイオガス精製システム実証設備(イメージ)
バイオガス精製システム
「Nature Ponics®システム」の技術イメージ
「Nature Ponics®システム」試験機